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日本の祭日には、季節の変わり目を告げる「春分の日」と「秋分の日」があります。
これらはお彼岸と密接に関連していますが、お彼岸の真意やその時に行う具体的な風習についてご存知ですか?
本記事では、お彼岸に欠かせない伝統的なお供え物である「おはぎ」と「ぼたもち」の違いについても詳しく解説します。
春分の日の意義とその重要性
「しゅんぶん」と読まれる春分の日は、1948年に「自然を称え、生命を愛する日」として国民の祝日に指定されました。
日本では、年間を通じて季節を二十四節気で分け、それぞれの季節ごとに特定の名前を与えています。この区分けの始まりは「立春」で、2月の初めごろです。
二十四節気の背景と詳細
昔の太陰暦では月の満ち欠けを基にしていましたが、それだけでは季節のずれが出るため、二十四節気が考案されました。このシステムはもともと中国で始まり、日本では江戸時代に暦の一部として取り入れられました。
春分は二十四節気の中で四番目に位置し、この日は太陽が真東から昇り真西に沈むため、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
春分点について
春分点は天の赤道と黄道が交差する点で、この日を春分の日と言います。具体的な日付は年によって異なりますが、通常は3月20日または21日です。
秋分の日の深い意味と起源
「しゅうぶん」と読む秋分の日は、1948年に国民の祝日として設定されました。この日は、祖先を敬うと共に亡くなった人々を悼む特別な日とされています。
秋分は、年間を通じた季節の移ろいを示す二十四節気の中で16番目の位置にあります。
秋分の日には、春分の日と同様に、太陽が真東から昇り真西へと沈むことから、昼と夜の時間が等しくなります。
「秋分点」とは、太陽の通り道である黄道が天の赤道と交差する点を指し、この点を太陽が通過する日が秋分の日と定義されています。この日は毎年9月22日または23日に設定されることが一般的です。
「お彼岸」とは何か? 彼岸花
「お彼岸」は、仏教に基づいた日本の伝統行事で、文字どおり「川の向こう側」つまりあの世を象徴する言葉です。
この行事は春分の日と秋分の日を中心に、それぞれ前後3日を含む7日間で行われます。これを「春のお彼岸」と「秋のお彼岸」と呼びます。
お彼岸の始まりは「彼岸入り」、終わりは「彼岸明け」として知られています。具体的な日程は以下のようになります。
- 1日目:彼岸入り
- 4日目:春分の日・秋分の日
- 7日目:彼岸明け
この行事は、「此岸」(現世)と呼ばれる現実の世界から、「彼岸」(悟りの境地)へと至ることを目的としています。この世は迷いや欲望に満ちた世界とされ、修行によってそれを超えて彼岸へと至ることが求められます。お彼岸の期間は、極楽浄土への思いを新たにし、その境地に近づくための修行として位置づけられています。
また、お彼岸の期間中は、秋分と春分の日に太陽が真東から昇り真西へと沈む現象から、彼岸(あの世)と此岸(この世)が繋がりやすくなるとされ、そのため先祖供養としてお墓参りが行われるようになりました。
「おはぎ」と「ぼたもち」の違いとは?
おはぎとぼたもちは、お彼岸に供える伝統的な和菓子で、もち米とあんこを使用して作られます。見た目は似ていますが、実は名前の由来に季節の花が関係しています。
春には牡丹が美しく咲くことから、この季節に作るお菓子を「ぼたもち」と呼びます。一方、秋には萩の花が特徴的で、この時期に作るお菓子は「おはぎ」として親しまれています。
形状にも特徴があります。ぼたもちは一般的に大きく丸い形をしていますが、おはぎは小さくて楕円形が多いです。また、使用されるあんこにも違いがあり、「ぼたもち」には滑らかなこしあんが、「おはぎ」には粒感のある粒あんが使われることが多いです。
これらの違いは、小豆の収穫時期によるものです。昔、小豆は秋に収穫され、春まで保存されていました。保存した小豆から作るぼたもちでは、硬くなった皮を取り除いたこしあんを使用していたのです。一方、おはぎは収穫したての新鮮な小豆を使用し、その香りと柔らかさを活かした粒あんで作られます。
現代では保存技術の向上により、一年中新鮮な小豆を入手できますが、この伝統的な呼び名と作り方は今も大切にされています。
『夜船』と『北窓』-季節ごとの特別な和菓子の呼び名
春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と呼ばれる和菓子がありますが、夏と冬にはどのような名称が使われているのでしょうか?実は、これらの季節にも独自の名前があります。
夏は「夜船(よふね)」と呼ばれ、冬は「北窓(きたまど)」とされています。
【夜船の背景】 「夜船」という名称は、もち米を伝統的な杵と臼を使わずに、すりこぎで潰して作る方法から来ています。この製法では通常の餅搗きのような音がしないため、「搗き知らず」→「着き知らず」と表現されることがあります。これが転じて、「夜に船がいつ着くか分からない」という意味で「夜船」と呼ばれるようになったのです。
【北窓の由来】 「北窓」の名前も、「搗き知らず」から派生しています。この場合は、「搗き知らず」→「月知らず」と変わり、「北の窓から月が見えない」という事実から「北窓」と名付けられました。
【小豆の役割】 お彼岸に「おはぎ」や「ぼたもち」を供える理由は、小豆の赤い色が災いを避ける効果があるとされているからです。この色は邪気を払う力があると信じられており、先祖供養と結びついて、江戸時代に庶民の間で広まった風習です。
春夏秋冬それぞれに異なる名前が存在することは、日本人が四季を大切にする文化の表れです。